さかみち

酒を呑んで千鳥足で歩くひねくれた道

トビウオの酢〆

季節になるとよく市場に顔を出すトビウオ
子供の頃にトビウオとはどんなに凄い魚なのだろうと思ったものだ。
なにせ魚の癖に飛ぶというのだ。
その時に抱いたわくわく感を思い出しつつ、同時に嫉妬心も覚える。
泳げて飛べる。そんなのはずるいだろという具合だ。

トビウオは青魚の性質上足が速い。
買った初日で食べなければ、血合いが臭ったりして次の日に美味しいものではない。
なので、残ったときは酢〆にしてしまう。
身に塩を少し降り、周りがやや白っぽくなるまで酢につける。これが次の日になると身が柔らかく甘くなっていておいしいのだ。
おろした生姜と刻んだネギを添えて醤油をぶっかけて食う。うまい。
下手すると刺身より美味いんじゃないかなんて思ってしまう。

 

泳げて飛べて、そして美味い。嫉妬する私。

 

鶏の山椒オイルかけ

なんか蒸し蒸しする。

湿度があるのにどうしてのどは渇くのだろうか。

そんなくだらないことを考えながら、いつもの立ち飲み屋にビールを一杯ひっかけに出る。

 

そういえばと、ついでに市場を見て周ると実山椒を見つけた。

このじめっとした季節にはこいつがいい。

 

癖のないオリーブオイルに実山椒を一日漬けておく。

そして、塩ゆでした鶏の胸肉をバンバンジーみたいに裂いて、それにどろりと回しかける。

この季節のどを潤すビールや、焼酎によく合うのだ。

山椒の風味と少しのぴりっと感。胡椒を振るとさらに辛味が加わってうまい。

涎鶏というのがあるが、さっぱりしたそれに近い気もする。

 

よし今日の立ち飲みをキャンセルだ。

私は明日の楽しみと焼酎を握りしめ帰宅した。